蠍のパレット
年代 | : | 先王朝時代 紀元前3200年 |
材質 | : | 片岩 |
大きさ | : | H. 25.5 cm; W. 45.0 cm |
古代エジプト人にとって化粧とは、自分を美しく見せるためだけではなく、魔力から自分を守る意味を持っていた。方鉛鉱ないしはクジャク石(マラカイト)をこのようなパレットの上で粉状に挽き化粧品として調製し、それをアイライナーとして使用した。古代エジプト人は、眼を通って危険な力が体に入ってくるかもしれないと信じていたため、アイライナーをひいた。アイライナーは、魔法のバリアとしての役目を果たした。そのため、先王朝時代の墓では、生き返った際にすぐに使えるようにとこのような片岩製のパレットを死者の頭の近くに置いた。
当美術館展示の片岩製のパレットは、サイズが特に大きいのがその特徴で、カイロエジプト美術館にあるナルメル王のパレットと同様に、むしろ儀式に使用されたものと思われる。エジプト初期のファラオの一人の名前である蠍の浮き彫りが施されていることからもその確証を得ることができる。このパレットの蠍は、当美術館のロゴにもなっている。