ミイラ覆いアンサンブル
年代 | : | プトレマイオス朝 紀元前 305-30 年 |
材質 | : | 着色後金彩を施されたカルトナージュ |
大きさ | : | マスク: H. 46.0 cm; W. 22.5 cm
胸部飾り: H. 20.5 cm; W. 26.0 cm
腹部飾り: H. 13.5 cm; W. 23.5 cm
脚部飾り: H. 25.0 cm; W. 9.0 cm |
カルトナージュとはパピエマシェ(パルプに接着剤その他を加えた素材)の古代エジプト版で、パピルスないしは亜麻布の上にプラスター(漆喰、石灰または石膏に砂や時に繊維類を混合して水で練り合わせたもの)を塗ったものである。これを別々のアンサンブルに形作り、ミイラのそれぞれ特定の部分を覆った。
この4つのアンサンブルは、特別良い状態で保存されたもので、金色に塗られたミイラマスクの顔は、ヒエログリフ的な眼と化粧をした眉毛が特徴的である。顔は細い縞のある三つ編みのカツラで縁取られ、それが王冠で留められている。そして王冠の真ん中には神聖なる眼、ワジャトが強力な守護のお守りとして装飾されている。様々な色は見た目にも美しく、美的な役割を果たす。しかし単にそれだけではなく、それぞれの色がそれぞれの色固有の性質を持っており、死者が願ってやまない蘇りに効力があると考えられていた。古代エジプトの女神たちの肉体は純金でできているとされ、したがって肌を金色に塗ることによって、その人が神聖であることを表した。また、金は、死者の死後の世界での再生を示唆している。赤は太陽の色であり、日が毎日昇ることにより再生のシンボルでもあった。黒はエジプトの農土の色であり、そこから青と緑の色に象徴される花の王国が出現するとされていた。